2024年12月4日,本会名誉会員で1993年から4年間,本会会長を務められた東京工業大学(2024年に東京科学大学に名称変更)名誉教授塚田忠夫先生が逝去されました.享年86歳でした.
塚田先生は,1964年に東京工業大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程を修了し、株式会社不二越に入社し,その後,1966年に東京工業大学工学部の助手として着任し,1972年に工学博士の学位(東京工業大学)(博士論文名:機械加工された二平面接触部の変形機構に関する研究)を取得されました.1976年に同学生産機械工学科助教授,1982年に同教授に昇任されました.この間,1981年より1年間,英国Leeds大学に文部省在外研究員として赴任されました.1999年には同大学を定年退職され,名誉教授の称号を授与されました.その後,2009年まで明治大学理工学部の教授を務められ,教員生活を通じ,多くの学生を指導・育成されました.また,1999年より大日本印刷株式会社の顧問を務め,2002年からは同社の取締役も務められました.
ご専門は精密機械計測,トライボロジ,設計製図の分野でした.精密機械計測では多数の独創的な実験装置や計測装置を製作し,計測情報のデジタルデータ化を可能にしました.トライボロジ関連では,摩耗実験のサンプルを自作の精密測定機を用いて測定するなど,積極的に研究に取り組まれました.設計製図の分野では,『機械設計法』,『機械設計入門』,『機械設計・製図の実際』などの専門書を多数執筆され,定番の書となりました.また,JISやISOなどの工業標準化活動にも熱心に取り組まれ,表面粗さ測定の研究を通じて工業規格の発展にも大きく貢献されました.
本会には1976年に入会され,1979年評議員,1983年理事に就任され,長く研究調査部会長を務められました.さらに1991年に副会長,1993年からは会長に就任されました.会長就任早々に,本会の活性化を提起され,会員増強,財政健全化,本会を支える後進の育成などに関するアドホック委員会を立ち上げて検討を進められ,その成果に従って,学会組織の再編や表彰制度の整備拡充を達成されました.1999年からは名誉会員として学会を見守ってくださり,本会運営のために適宜のご助言を賜り,本会の発展にご尽力いただきました.
塚田先生のご逝去にあたり,心より哀悼の意を表し,ご冥福をお祈りしますとともに,謹んで会員各位にお知らせいたします.
文責 東京科学大学 准教授 原 精一郎