論文賞・奨励賞は,本学会誌『設計工学』第60巻1号(2025年1月号)から第60巻12号(2025年12月号)までに掲載された論文を対象として,論文賞・奨励賞審査委員会において慎重審議の上,規程に基づき推薦し,これを受けて理事会が決定した論文及び個人に対して2026年度通常総会(5月23日:明治大学駿河台キャンパス)において授与されたものである.(敬称略)
論文賞





受賞者 木下雅巧(YKK株式会社/金沢大学),北山哲士(金沢大学).李鵬(YKK株式会社),桐田勇治(YKK株式会社),佐藤栄(YKK株式会社)
研究論文:「ファスナー部品を対象としたビレット形状と金型形状の同時最適化」
巻 号 頁:第60巻12号
論文概要:
本研究では,冷間自由押出しによる衣類用ファスナー部品の成形を対象に.ビレット形状と金型形状の最適設計を行った.工具寿命の向上を目的として成形荷重を低減しつつ,製品機能の向上を目的として製品高さを確保する多目的最適設計問題を構築した.機械学習を活用した最適設計法である逐次近似最適化を活用して成形荷重と製品高さの間に存在するトレードオフの関係を明らかにし,検証実験により提案手法の妥当性を実証した.
奨励賞

受賞者(1):有賀嵩紘(東京科学大学)
研究論文:「空間素構造物由来連鎖の運動解析」
巻 号 頁:第60巻4号
論文概要:
素構造物は内部に0自由度以下の部分連鎖を含まない0自由度リンク連鎖であり,リンク機構の体系的な運動解析や設計への応用が期待される.本論文では,すべての空間3節素構造物,および一部の4節素構造物を対象に,素構造物から1つの節を削除することで誘導される素構造物由来連鎖について変位,速度および加速度を解析する.さらに,提案手法の応用例として素構造物の解析手法を空間6節1自由度機構の運動解析に応用する.

受賞者(2):杉山直輝(東海大学)
研究論文:「高速度カメラを用いた尿素 SCR システム内の気液二相流の可視化(可視化実験装置の構築およびPIV 解析によるガス温度の影響比較)」
巻 号 頁:第60巻3号
論文概要:
尿素SCRシステムを模擬した可視化実験装置を構築し,高速度カメラとPIV解析により気液二相流の流動特性を評価した.その結果,液滴に作用する抗力はガス-液滴間の速度差に強く依存することを明らかにした.さらに,噴霧液滴の初期速度はガス温度の上昇に伴い増加することを確認した.これらの知見より,実験値を解析初期条件に反映することで予測精度向上の可能性を見出すとともに,PIVとDDMを組み合わせた解析手法への適用可能性を示した.

受賞者(3):森田康揮(住友ゴム工業)
研究論文:「パラメトリックな実験的探索手法を活用したタイヤトレッドデザインの開発」
巻 号 頁:第60巻4号
論文概要:
冬用タイヤのグリップ性能向上のため,サイプの形状・姿勢・配置を最適化する手法を構築した.タイヤ用ゴムの物性と同等材料で3D出力したモデルの摩擦係数を測定し,ベイズ最適化で性能向上が期待できるパラメータを選定する手法である.ベイズ最適化の反復でグリップ性能が向上することを確認し,デザイン空間を拡張して創出したツイストサイプのグリップ性能向上も試みた.また,最適化の進度と次ステップのパラメータ選定に用いるガウス過程回帰モデルの獲得関数についても考察した.