2024年度武藤栄次賞優秀設計賞
武藤栄次賞優秀設計賞は,企業や研究機関において開発された製品や装置について,独創性,設計における重要な工夫,社会的な波及効果,特許及び実用新案の取得状況を主なる審査基準として,個人あるいは団体に贈賞されるものである.2024年度優秀設計賞審査委員会(宮川豊美委員長)は,3件の製品を選定し,2025年5月24日(土)開催の通常総会(日本大学理工学部船橋キャンパス)の席上にて表彰した.(敬称略).
設計製品:
「AI軸力推定機能付微小ねじ締付用電動ドライバの開発」
設計者:
- 綿貫 啓一(埼玉大学)
- 富田 保士(株式会社バンガードシステムズ)
概 要:
本設計製品では,ねじ締め中に電動ドライバがセンシングしたトルクデータ,押圧等を機械学習することにより,M2以下の微小ねじの軸力を高精度に推定するAIを設計した.この電動ドライバ自体は,回転用モータおよび押圧用モータが同軸線上に配置され,ボールねじを介して接続されており,締付けトルクおよび押圧を連携して制御している.他社製品と比較すると,ステッピングモータを採用することで,ギアやクラッチなどの部品が不要となり,製品の高寿命,高信頼性を実現している.
設計製品:
「四ローラ式発射機構を用いた投球機の開発」
設計者:
- 酒井 忍(公立小松大学)
- 酒井 祐一(株式会社西野製作所)
- 池田 海都(公立小松大学・院)
概 要:
本投球機(ピッチングマシン)は,四ローラ式発射機構により,幅広い球速かつ直球やカーブはもちろん,従来の投球機では投球が困難であったボールの進行方向に回転軸を持つジャイロボール等の高度な変化球を含むすべての球種のボールを狙ったコースに投げ分ける高い投球性能を有している.また,人工知能を用いた投球制御システムにより,どんな投手のボールや投球パターンもすべて再現できる実践的な高性能マシンである.
設計製品:
「自動箱包み装置」
設計者:
- 吉氷 弘樹(株式会社アビリカ)
- 星 悠大(株式会社アビリカ)
- 山下 剛(株式会社アビリカ)
- 中野 大人(株式会社アビリカ)
- 田村 斗唯(株式会社アビリカ)
- 天野 裕介(株式会社アビリカ)
- 西 百合恵(株式会社アビリカ)
概 要:
箱をスクエア包みで自動包装する装置.スクエア包みは化粧折りを施す包装方法であり、その工程の自動化は難易度が高い.しかし、三次元の曲面を有する治具をスライドさせることで化粧折りを施す機構を開発し、シンプルかつコンパクトな構造を実現した.また、箱に包装紙を密着させ、折り目を整えることで、贈答品にふさわしい美しい包装を可能にした.本装置の技術は、今後、複雑で繊細な工程の自動化への対応も期待できる.
2023年度武藤栄次賞優秀設計賞
武藤栄次賞優秀設計賞は,企業や研究機関において開発された製品や装置について,独創性,設計における重要な工夫,社会的な波及効果,特許及び実用新案の取得状況を主なる審査基準として,個人あるいは団体に贈賞されるものである.2023年度優秀設計賞審査委員会(宮川豊美委員長)は,1件の製品を選定し,2024年5月18日(土)開催の通常総会(法政大学小金井キャンパス)の席上にて表彰した.(敬称略).
設計製品
「交流磁場曝露が人体に及ぼす生理学的影響の解明に基づく電気磁気治療器の開発」
設計者
- 綿貫 啓一(埼玉大学)
- 石渡 弘美(株式会社ソーケンメディカル)
- 岡野 英幸(株式会社ソーケンメディカル)
- 黒沼 典生(アルタテック株式会社)
- 目黒 恭夫(株式会社ソーケンメディカル)
概要
ケーシングの影響を受けることなく,より高い治療効果が得られる電磁石を内蔵した交流磁気治療器を設計した.ケーシング上面に円形の開口部があり,コア部材が開口部から外部に露出する構造となっているため,磁束密度が低減しにくいように設計されていることを特徴とする.本交流磁気治療器は,コリと血行の改善のみならず,筋疲労,むくみ,冷え性にも有効であり,運動神経伝導速度の低下を抑えるなど,いくつもの健康増進効果が見出された.
2022年度武藤栄次賞優秀設計賞
武藤栄次賞優秀設計賞は,企業や研究機関において開発された製品や装置について,独創性,設計における重要な工夫,社会的な波及効果,特許及び実用新案の取得状況を主なる審査基準として,個人あるいは団体に贈賞されるものである.2022年度優秀設計賞審査委員会(岩附信行委員長)は,1件の製品を選定し,2023年5月27日(土)開催の通常総会(慶應義塾大学日吉キャンパス)の席上にて表彰した.(敬称略).
設計製品
「AI感性認知評価に基づく人に寄り添ったインテリジェントHCL照明システムASACOLOR LED-EMMOの開発」
設計者:
- 綿貫啓一(埼玉大学)
- 増子直也(株式会社朝日ラバー)
- 川口武(株式会社朝日ラバー)
- 田崎益次(株式会社朝日ラバー)
概要:
LEDと蛍光体を用いた波長制御技術による自然光に近いブロードな波長の光と,AI感性解析と連動させることにより,リアルタイムで感性や体調などに応じた人に寄り添った照明光へ調整するHCL(Human Centric Lighting)照明システムを設計した.照明光は,同じ白色光でも「眠気を感じにくい」「文字がくっきり読める」「眠気を誘う」といった分光波長の異なる光へ切り替えられるよう設定している.AIを用いて,様々なシーンで人の感性に寄り添いながらQOL向上に貢献するHCL照明システムの提供を実現していく.