2024年度 論文賞・奨励賞
論文賞・奨励賞は,本学会誌『設計工学』第59巻1号(2024年1月号)から第59巻12号(2024年12月号)までに掲載された論文19編を対象として,論文賞・奨励賞審査委員会(小林健一委員長)において慎重審議の上,規程に基づき推薦し,これを受けて理事会が決定した論文及び個人に対して2025年度通常総会(5月24日:日本大学理工学部船橋キャンパス)において授与されたものである.(敬称略)
論文賞
(該当者なし)
奨励賞

受賞者(1):喜井 大誠(大阪大学大学院工学研究科)
研究論文:「機能性と意匠性を兼備するトレッドパターンに向けたデータ駆動型最適化計算による設計法」
巻号頁:第59巻10号p.493-506
論文概要:
本研究では,トレッドパターンの機能性と意匠性を同時に考える設計問題に対する設計支援の枠組みとして,物理指標と感性指標からなる多目的最適化問題に対する最適化計算法を提案した.同計算法は,深層生成モデルを用いたデータ駆動型最適化手法とパレート最適解に対する深層クラスタリング処理から構成されている.タイヤトレッドパターンを題材とした数値例では,機能性を損なうことなく,意匠に優れた多種多様なパターンが得られた.

受賞者(2):久保田 竜太(徳島大学大学院先端技術科学教育部)
研究論文:「放電加工による穴内面への細穴創成」
巻号頁:第59巻12号p.597-608
論文概要:
著者らの研究室では,除去加工法では創成不可能とされてきた穴の内面を起点とする穴を放電加工により創成することを目的としている.これまでにこの目的を実現する装置を開発してきたが,創成できた穴の最小内径は3.1mmであった.そこで本研究では,内径の小径化すなわち細穴の創成を可能とする装置を開発した.実験の結果,穴の内面に対して最大/最小の内径が1.7mm/0.6mm,長さが26.0mmの細穴を創成できた.これにより開発した装置を用いて穴内面への細穴創成が実現できることを実証した.
2023年度 論文賞・奨励賞
論文賞・奨励賞は,本学会誌『設計工学』第58巻1号(2023年1月号)から第58巻12号(2023年12月号)までに掲載された論文20編を対象として,論文賞・奨励賞審査委員会(小林健一委員長)において慎重審議の上,規程に基づき推薦し,これを受けて理事会が決定した論文及び個人に対して2024年度通常総会(5月18日:法政大学小金井キャンパス)において授与されたものである.(敬称略)
論文賞
(該当者なし)
奨励賞

受賞者(1):齊藤 雅博(株式会社浅野歯車工作所)
研究論文:「5軸制御マシニングセンタで創成されるリブ補強された小型高強度スパイラルベベルギヤにおける駆動特性の考察」
巻号頁:第58巻7号p.309-326
論文概要
5軸制御マシニングセンタとボールエンドミルを用いて製造できるリブ補強された小型高強度スパイラルベベルギヤを研究開発してきた.これはピニオン歯すじ端部にリブ付与して歯元曲げ強度の向上を狙う.本報は試作したリブ付きピニオンをギヤとかみ合わせて駆動し歯元及びリブ周辺の発生応力を実測することで,リブは歯元曲げ応力を低減でき駆動時のトルク変動による歯あたり移動を小さくできることがわかった.

受賞者(2):中村 秀弥(福井大学大学院)
研究論文:「潤滑油画像解析法による色を用いた劣化診断技術の創出に向けた潤滑油撮影装置の開発」
巻号頁:第58巻10号p.441-454
論文概要
著者らは,潤滑油そのものの色情報を用いた潤滑油画像解析法(LIA)を新たに提案した.本手法はデジタルカメラで撮影した画像のRGB値から潤滑油の劣化に伴う色変化を定量することができる.本論文では設計・製作した潤滑油撮影装置(Lope)の開発過程について述べる.さらにその計測原理から遡り,潤滑油の劣化に伴う色発現メカニズムについて考察した.結果として LIA による潤滑油劣化診断の有用性を示すとともに,応用技術として二値化を用いた固形粒子定量化方法を提案した.
2022年度 論文賞・奨励賞
論文賞・奨励賞は,本学会誌『設計工学』第57巻1号(2022年1月号)から第57巻12号(2022年12月号)までに掲載された論文20編を対象として,論文賞・奨励賞審査委員会(小林健一委員長)において慎重審議の上,規程に基づき推薦し,これを受けて理事会が決定した論文及び個人に対して2023年度通常総会(5月27日:慶應義塾大学日吉キャンパス)において授与されたものである.(敬称略)
論文賞




受賞者(1):三和怜央(関東学院大学 大学院),宮永宜典(関東学院大学 理工学部),辻森淳(関東学院大学 理工学部),富岡淳(早稲田大学 理工学術院)
研究論文:「油膜厚さ一定下および荷重一定下での実験によるディンプルを有するシール型スラスト軸受の潤滑特性の検討」
巻号頁:第57巻12号pp.621-636
論文概要:
潤滑面にディンプルを有するシール型スラスト軸受の潤滑特性について実験的に検討した.油膜厚さを固定して測定した結果を,荷重を固定した一般的な測定結果と比較し,その妥当性を明らかにした.両者の試験装置において,油膜力,摩擦トルク,流体膜厚を測定した.また,実験中に潤滑面を可視化した.円形ディンプルの油膜力は扇形ディンプルの約3倍であり,摩擦トルクも円形ディンプルの方が若干小さかった.両試験装置で得られた結果は,キャビテーション現象を含めてよく一致し,油膜厚さを固定した測定方法の妥当性が確認された.
奨励賞

受賞者(1):Kazumasa TAKADA(千葉工業大学)
研究論文:「Autonomous Operation System of Caisson Shovels in Narrow Underground Space at High Air Pressure」
巻号頁:第57巻8号pp.381-396
論文概要:
ニューマチックケーソン工法における無人化施工実現のため,ロボット化された複数のショベルが協調作業により自律的に掘削するシステムを開発した.1/10にスケールダウンされたプラットフォームにおいて,2台一組3グループによる土山バケツリレー協調作業実験を行い,衝突することなく効率的に掘削が可能であることを示した.また,大規模施工現場における40台規模の協調作業への適用可能性を示した.